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伊豆の奥深い面白さ

それにしても先回のバッテリー事件は悔しかった。地団駄を踏むとは正にあの時のことを言うのだろう。
眼の前に特上の被写体が広がっているというのに、唯指をくわえて傍観しなければならない苛立ちは何ともいたたまれないことだ。更にそれが新しい伊豆を知る上で、とても意味のある撮影になると思うと、単純に“はい、そうですか”とは引き下がれない。
というわけで、翌週の休日12月6日(木)に再チャレンジを行ったのである。
私の場合、二週連続の撮影行は珍しい。体力的にも金銭的にも少々辛いからだ。それでも出掛けてしまった理由には、いつもと違う伊豆の印象に、並々ならぬ魅力を覚えてしまったことが挙げられる。

先ずは撮影貫徹のできなかった一碧湖から始めた。沼池の静かな佇まいは相変わらずで、遊歩道をのんびりと歩いて行くと、とても落ち着いた気分に浸れた。木道を渡りきった頃、木々の間に何かの動きを感じたので、じっと目を凝らして見てみれば、なんと2匹のリスを発見。レンズを向けると素早い動きで枝葉の陰に隠れてしまい、あっという間にその姿は遠ざかってしまった。当たり前だが、武蔵野の雑木林とは自然の濃度が違う。
大池が見渡せるところまで歩を進めてきたが、その先を回るには時間の関係上無理があるので、とにかく車へ引き返すことにした。次の撮影地は『滑沢渓谷』だ。

ohmuro-yama.jpg

一碧湖から大室山へ通じる一帯は多くの別荘が点在する。いつかは別荘を持ちたいと考えている私にとって、ここは目の毒であり、通過する際、“わき見運転”の連続でひやひやした。しかし、どの家に目をやってもある程度以上の造りが見受けられ、<別荘地・伊豆高原>のレベルの高さを窺えた。

大室山のリフト乗り場脇を通りかかると、案の定駐車場はがらがらだった。予定にはなかったが、時間にまだ若干の余裕があったので急遽登ってみることにした。
伊豆高原の象徴とも言うべき大室山は、なんと火山であり、標高もしっかりと580メートルある。そして完全な単独峰だから、とにかく良く目立つ。ミキシングボールを逆さまにしたような、至極単純な山容をしているので、今まで“山”としての興味は全くそそられることがなかったが、伊豆を探求していく上で一度はチェックしなければならない存在だとは前々から感じていた。
リフトから降り周囲に目をやると、なるほど眺めはいい。360度の眺望は素晴らしくダイナミックであり、これをリフト往復料金420円で味わえると思うと、非常にリーズナブルだと言える。頂上には火山を証明するすり鉢状の噴火口があり、現在はアーチェリー場となっている。周囲にはぐるりと回ってこられる遊歩道が整備されていたので、早速歩き始めてみた。大凡1kmの行程だ。
海岸線へ目をやれば、伊東から富戸までの町並みが良く見える。なるほど、大島の眺めは最高だ。振り向くと天城山系もバッチリと見渡せる。当日は生憎の曇り空だったので、少々遠望はきつかったが、これが快晴であったならば、さぞかし感動的なパノラマとなっていたことだろう。

湯ヶ島へ抜けるのに、十数年ぶりとなる国士峠を使ってみた。
しかしこれは大きな失敗であった。道は細いは荒れてるは、眺望だって全く利かないし、おまけにタイトコーナーの連続を強いられたおかげで、ここ数週間調子のイマイチだった腰がついに悲鳴を上げてしまったのだ。
なんとか下田街道へ出た頃には、背中の方まで痛みが広がり、暫し車から降りて休憩を取らざるを得なかった。それにしても腰痛の起きる周期が、この頃やや短くなったような気がして不安である。

「滑沢渓谷バス停」を右へ入ると、駐車場と思しき空き地はかなり広いものであった。Webの観光ガイドには、どれも『駐車場なし』と記してあるので、ここは本来車を停めてはいけない場所かもしれない。
さて、渓谷へ入ると既に紅葉のピークは終ってしまったことが分かる。どちらかといえば冬枯れの様相で、辺りは何とはなしに物悲しいムードに包まれていた。
太郎杉方面へ折れた直後、何気に川に目をやると、なるほど、観光ガイドに謳ってある通り、巨大な一枚岩の上を滑るように水が流れている。若しかしてこれが滑沢川命名の由来かもしれない。しかしこの辺りも紅葉らしき色合いは殆どなく、おまけに雲が出てきて渓谷は既に夕暮れの雰囲気になりつつあった。

今まで伊豆の撮影行といえば、海、それも西海岸の漁町を中心に行ってきた。しかし今回、二週に渡る、池、山、川の撮影を終えて、伊豆の奥深い面白さを再発見したのと同時に、自分でも驚くほど写欲が高揚してきたのを自覚したのであった。
  1. 2007/12/13(木) 22:03:16|
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